太陽光発電設備の発電量が少ないようです。晴天なのに0.2ｋＷしか発電していません！
10月上旬に、宮崎県中央部にお住い（Ａ町）の女性の方（Ｂさん）からタイトル内容の相談を、私ども、ひむかおひさまネットワークの楠見副代表が電話で受けました。楠見副代表は10月10日に相談者宅を訪問し、写真撮影、パワコンの積算発電量等の状況把握を行いました。当日は曇天であったため、Ｂさんに、晴天の昼前後になったら、各パワコンの表示値を読んで連絡をいただくようにお願いし退出いたしました。
この相談内容、対応、処置、結果について皆様にお知らせします。同様のことが設置後１０年程度以上経過した各設備でも生じていると思われますので、現在あるいは今後、同様のことが無いように皆様の参考にしていただきたいと考え詳細を報告し、最後に考察をいたします。
Ｂさんからは、名前を出していただいても良いですよ、とまで言われましたが、匿地、匿名で記載します。併せて、メーカー名等も匿名といたします。
Ⅰ 状況
１ 設置年： 2002（平成14）年 従って、10年の保証期間を約3年経過している。
２ 販売施工業者： 宮崎県内 Ｃ市、Ｄ事業者（すでに廃業）
３ 太陽光パネルとパワコン：国内メーカー Ｅ社製
４ 太陽光発電の構成： パワコン１（店舗の屋根１） 126Ｗ×30枚（10列×3段）3.78ｋＷ
パワコン２（店舗の屋根２） 126Ｗ×30枚（10列×3段）3.78ｋＷ
パワコン３（住居の屋根３） 126Ｗ×32枚（8列×4段）4.032ｋＷ
５ 故障症状： 2015（平成27）年10月13日（火）晴天時１２時の発電量
パワコン１ 0.3ｋＷ、パワコン２ 0.5ｋＷ、パワコン３ 0.2ｋＷ
６ その他：店舗の１、２の接続箱の錆がひどい。店舗のパネル表面下側が汚れている。同架台に藻類の付着や白粉発生が見られる。
Ⅱ 対応
１ 10月13日に楠見事務局長からおひさまネットワーク事務所に、メールと電話で詳細調査報告がありました。
２ おひさまネットワーク代表の下津が、同時期にＢさんと同じＥ社製設備を設置しており、2013年に同様の症状を経験していたこともあり、
おひさまネットワークからＥ社コールセンターに状況説明を行い、Ｂさんと連絡の上修理日程の調整を行うよう要請しました。
３ Ｅ社の宮崎県内を担当しているＦ社（Ｅ社子会社）からＢさんに連絡し、10月15日に修理に行くこととなりました。
Ⅲ 対策
１ Ｆ社の技術者１名が、10月15日午前中にＢさん宅を訪問し、午後５時前までに修理を終えました。
２ 修理内容は、各パワコンのセンサ基盤の取り替えを行い、完了しました。
３ ３台のセンサ基盤の交換にかかった費用は、部品代等諸々の経費を含め約10万円でした。
Ⅳ 結果
１ 修理の結果、各設備とも、昼間時間で定格の約７割強の発電表示を示すようになりました。
２ 接続箱の錆については、メーカーに在庫が無いとのことで、Ｂさんが他の方法で対応するとのことでした。
３ 10月15日修理完了後最初の検針は11月2日でした。売電収入が店舗では約20,000円(約400kWh)、住居では約10,000円(約200kWh)dとなり、故障していた間の一か月分の4～5倍の売電だったという連絡をＢさんからいただきました。11月はほとんど晴天続きでしたから、1月に換算するとこの２倍になります。
Ⅴ 考察
１ 長期間使用する太陽光発電は、Ｂさんの事例のように販売施工業者が倒産・廃業等で直接連絡が取れなくなることがあること。
２ メーカーに連絡する必要があるが、設置時の書類を保管していなかったりすると連絡の方法もわからなくなる。
３ インターネットでメーカーのコールセンターを探せない方もいらっしゃるので、その際は当ＮＰＯ等にような中立の団体を活用いただけば良い。
４ 太陽光パネルとパワコンが国内メーカー Ｅ社製であり、かつ修理部門の会社が県内にあったため迅速な対応に繋がりました。
５ ４のこともあり、比較的安価な料金で回復しました。
最後の纏めです。
＊長期間使用する工業製品ですから、設置者の皆さんは故障もありうるということを考えて、導入時にはメーカー、販売施工業者の選定を行うようにしてください。
＊運転開始後は、月に１回程度でも良いので、晴天時昼間の発電量を見るなど日常監視により異常の早期把握に努めるようにしてください。
店舗上の設備（手前）と自宅屋根上の設備
接続箱及び架台
パネル表面下縁の汚れ
